- 1操りアイドルの宿命 投稿者:ミーアCat 投稿日:2012年05月17日(木)03時34分41秒
- 初めてですけどよろしくお願いします。
気が向いたら更新していきますので。
- 2投稿者:ミーアCat 投稿日:2012年05月17日(木)03時49分31秒
- その日、××プロダクションはひっきりなしに電話やファックスの応答に追われていた。
「ええ、ああ……その件はですね、その、根も葉も無い噂というか、ええはい……」 室長の本間は汗をぬぐった。一紙の週刊誌で掲載されたことなのにこれほどまでにとばっちりがあるとは思いも拠らなかった。 「一体誰がこんな嘘を……」 独り言のように呟く。所属事務所の一室でさえこの有様だ。 恐らく当人の耳にも届いているに違いない。 ちょうどドラマの収録がひと段落したころだろうか。 彼女がこの“風の噂”をどう思うか想像すると胸が締め付けられる思いがした。
- 3投稿者:ミーアCat 投稿日:2012年05月17日(木)04時06分39秒
- 「これからも機会があれば皆様とご一緒に仕事ができたらいいなと思います。ほんとにお疲れ様でした!」
ドラマの打ち上げが終わり肩の荷が下りたのか、少女はほっと溜め息を吐いた。 一応未成年の為、早めにお下がりしたという形だ。他メンバーはアルコールも入りほろ酔い加減のようだ。 マネージャーとも別れ川島海花は一人帰路についた。
- 4投稿者:ミーアCat 投稿日:2012年05月17日(木)04時35分26秒
- 家まで数十メートルというところで、何やら怪しい人影が数名門周辺をうろうろとしていた。
途端に背筋が凍りつく。 むしろ海花は自分からマネージャーの負担を減らすようにしていたつもりだったが、この時ばかりは送迎をしていてもらうべきだったな、と悔やんだ。 何気なく通り過ぎようとした海花の前にやはり彼らは立ちはだかる。 「どいてください……」 海花は俯いたままぶっきらぼうにそう言った。 「怪しいものでは決してないんですがねー。私ら雑誌の取材部の者ですよ。撮影お疲れ様ですー」 彼らはその後の二の句をもったいぶってなかなか切り出さなかった。 それは海花を配慮して、というよりむしろ美味しいところは少しずつ食すのと同じようなイヤらしい間の取り方だった。
- 5投稿者:ミーアCat 投稿日:2012年05月17日(木)04時35分53秒
- 「なんですか……とくに用が無いなら帰ってください! 私疲れてるので」
「いや何の話かは勿論分かってるとは思っていたんですがねー。今回はどのような心境でAVデビューを御決断なさったんですか? 家族へは何と? あの、一言お願いします」 はっ……と何か言い返そうとしたがつっかえて何も言葉が出てこない。 海花は取材陣を押しのけるように自宅の戸を開けた。 乱暴に鍵を閉め、自室の布団にもぐりこんだ。
「あんまりだよ……いくらなんでも」
今までも週刊誌の嫌がらせ、脅迫、過剰なファンレターなど有名人が受けるストレスの類は大方受けてきた。 しかし今回の異常なまでの飛躍振りにさすがの海花もふさぎこんだ。
「誰も、誰も望んでないよ……そんなこと」
布団を被って亀のような状態になると海花は目を閉じ出来るだけ余計なことは考えないように眠りに落ちていった。
- 6投稿者:ミーアCat 投稿日:2012年05月20日(日)00時34分49秒
- 次の日は午前中は大学、午後からバラエティの収録というハードスケジュールだった。
事務所から電話があったのはほんの束の間の昼休憩の時だ。 海花は新しくできた友人と学食でお喋りに花を咲かせている最中だった。
「午後の収録はキャンセルした。迎えをよこすので至急事務所まで来てくれ」
一時間後、海花は嫌な予感を抱えつつ事務所の室長室に呼び出されていた。 事態は海花の想像を絶するところまできてしまったようだった。 例の“AVデビュー”の文字が躍る週刊誌をバサリと目の前に置かれた。
「こうゆう噂が出回ってるのは聞いてるな?」
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